この記事でわかること
- 「ルールを書いた文書」の検査に通っていても、そのルールが適用されるはずの実物(公開中のサイト画面)が検査対象に入っていなければ、実物側のズレは自動では見つからない。
- 私たちのサイトでも、社内ルールは正しく文書化され、自動チェックにも通っていたのに、サイトの画面だけが10日ほど古い言葉のままだったという失敗が実際に起きた。
- 自分の会社でも同じことが起きていないか、確認する手順を紹介する。
ルールは合格していたのに、直っていなかった
私たちには、対外的に使う言葉について社内ルールがあります。ある時期、「使わない方がよい言葉」を明文化し、社内文書に反映しました。その文書に対する自動チェックも、きちんと合格していました。
ところが後日、実際に公開しているサイトを見直したところ、ヘッダーの入口・サービスの正式名称・お問い合わせページに、ルールで避けると決めたはずの言葉がそのまま10日ほど表示され続けていたことが分かりました。文書は正しく直っていたのに、その文書が指すはずの実物だけが、更新される前の状態のまま止まっていたということです。
これは「うちは確認が甘かった」という話として書いているのではありません。見えていなかったのは、見つける仕組みをまだ持っていなかったからです。だからこそ、その仕組み自体を作った、という話として読んでください。
なぜ「文書を直す」だけでは終わらないのか
ルールと、そのルールが適用される実物は、実は別々の場所に置かれています。
| 対象 | 自動チェックの対象だったか | 実際の状態 |
|---|---|---|
| ルールを書いた社内文書 | ✅ 対象(チェックに合格) | ルールどおりの表記に更新済み |
| ルールが適用されるはずの実物(公開中のサイト画面) | ❌ 対象外 | 更新前の言葉のまま10日ほど残存 |
文書を直したとき、頭の中では「ルールを反映した」で完了しています。ところが、そのルールが実際に及ぶべき実物(サイトの画面)は、文書とは別のコードで別のタイミングに更新されるため、文書側の修正が実物側に自動で反映されるわけではありません。 加えて、自動チェックの仕組み自体が「文書だけ」を検査範囲にしていると、実物側の古い表記はチェックをすり抜けたまま気づかれません。
「ルールを文書に書いた」時点と、「そのルールが実物に反映された」時点は、別のできごとです。前者が完了しても、後者を確認しない限り、両者が一致しているとは言えません。
自分の会社でも確認できる:確認手順
これは特別な状況ではありません。社内規約・スタイルガイド・ブランドガイドラインなど、「使う言葉」「使わない言葉」を明文化している会社なら、どこでも起こり得ます。 以下の手順で、ご自身の会社の状態を確認できます。
- 自社に「使わないと決めた言葉」「統一すると決めた表記」のリストがあるか確認する(社内規約・スタイルガイド・ブランドガイドライン等)
- そのリストに対するチェックが行われているとして、チェックの対象が「文書」だけに閉じていないかを確認する(文書内検索・校閲ツールの適用範囲を確認する)
- 実際に公開しているサイトの主要ページ(トップページ・サービス名が出るページ・お問い合わせページ)を開き、ブラウザの検索機能(Windowsは
Ctrl+F/MacはCmd+F)でリストの言葉を1つずつ検索する - ヘッダー・フッター・正式なサービス名など、更新頻度が低く見落とされやすい場所を優先して確認する
- もし見つかった場合は、そのページを直すだけでなく、「なぜチェックで見つからなかったか」(チェックの対象が文書だけだったか等)まで確認する
「文書のチェックに通っている」ことと、「実物がルールどおりになっている」ことは別という前提で、両方を見る必要があります。
私たちが実際に直した内容
自社での対応を開示します。
サイトの画面に残っていた古い表記を、ルールに沿った言葉へ統一しました。あわせて、内部の識別子(フォームのIDやURLパラメータ等、計測に使っている値)は変更すると計測が壊れるため維持し、画面に表示される文字だけを直しました。
対応後、修正が漏れていないかを、サイト内の該当ページを1つずつ確認する形で見直しました。
| 確認項目 | 結果 |
|---|---|
| ルールで避けると決めた言葉が、サイトの画面から見つかるか | 見つからない(該当箇所すべて更新済み) |
| 内部識別子(フォームID・URLパラメータ等)への影響 | なし(画面表示のみ変更) |
表記統一そのものの効果(問い合わせ数の変化など)は計測できていません(変更から日が浅いため)。断定はせず、今後の推移を見ます。
よくある落とし穴
「文書を直した」と「実物を直した」は違う
担当者の頭の中では、文書の修正が完了した時点で作業は終わっています。しかし、その文書が指すはずの実物(サイト・提案書・営業資料等)が、修正後に見直されていなければ、古い状態のまま取り残されている可能性があります。 ルールを更新するたびに、「このルールが適用されるべき実物はどこか」を洗い出す工程が要ります。
チェックの「対象範囲」を疑う
自動チェックがあると、それだけで安心してしまいがちです。しかし、チェックが実際に見ている範囲が「文書だけ」なのか「実物も含む」のかによって、見つけられるズレの範囲がまったく変わります。 チェックに合格していることは、チェックの対象範囲の中で正しいという意味でしかありません。
FAQ
Q. 自動チェックの仕組みを持っていれば、もう安心ですか?
A. チェックの対象範囲次第です。文書だけを検査する仕組みでは、実物側のズレはチェックを通り抜けます。何を検査対象に含めているかを、まず確認することをお勧めします。
Q. これは言葉づかいだけの問題ですか?
A. いいえ。これは「ルールを書いた場所」と「ルールが適用されるはずの実物」が別々に存在するとき、検査の範囲が片方だけに閉じていると起きる、という構造の話です。言葉づかいに限らず、表示する数値や画像の扱いなど、他のルールでも同じ形のズレは起こり得ます。
Q. 一度直せば、もう起きませんか?
A. 断言はできません。今後もルールを更新するたびに、実物側への反映を確認する工程が必要だと考えています。
まとめ
- 「ルールを書いた文書」のチェックに通っていても、そのルールが適用されるはずの実物が検査対象に入っていなければ、実物側のズレは自動では見つからない。
- 私たちのサイトでも、社内ルールは正しく文書化され、自動チェックにも合格していたのに、サイトの画面だけが10日ほど古い言葉のままだったという失敗が実際に起きた。
- チェックに合格していることと、実物がルールどおりになっていることは別という前提で、両方を確認する。手順は本記事に掲載した5ステップで再現できる。
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次のステップ
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